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日光不足が発癌を促すーー高齢者と慢性疾患患者は注意を [ビタミンD]

 日光と皮膚―この2つの単語からだれもがすぐに癌を思い浮かべるほど,日光への曝露が癌を誘発することは広く知られている。しかし,紫外線(UV)不足もまた発癌を促す要因となることはあまり理解されていない。ホンブルク・ザール大学病院皮膚科のJőg Reichrath教授は「日光が悪性腫瘍を予防する機序において鍵となるのはビタミンDである」とドイツ皮膚科学会の第44回会議で説明した。

<日光は悪性黒色腫も防ぐ>
 身体に必要なビタミンDの90%はUV-B照射により皮膚で産生される。in vitroでは、ビタミンDが腫瘍細胞の増殖を抑えることが明らかにされており、ビタミンDのこうした保護作用は疫学データからも示されている。欧米の研究によると,乳癌の発生率には著しい南北格差があり、こうした地域による著しい差異は、日光による影響の強さだけから説明できるという。別の調査では,前立腺・大腸・卵巣の悪性腫瘍に関して同様の連関が証明されている。米国では、UV不足が原因で年間約2万人が癌で死亡していると見られている。

 死亡率を検討すると、他の癌種でも日光の好影響を証明することができる。悪性黒色腫も例外ではなく、日光を浴びることにより悪性黒色腫で死亡するリスクは明らかに低下する。膀胱癌による年間死亡率も、日照の多い地域住民のほうが日照の少ない地域住民よりも低いことが示されている。

 しかしReichrath教授は「この事実を無制限な日光浴の弁護と解釈してはならない大量のUVへの間欠的な曝露が皮膚癌の発生を促すことに議論の余地はなく、日焼けは絶対に回避すべきである」と強調した。悪性腫瘍に対する予防効果は、低量の紫外線への慢性的曝露において認められ、日光浴はたまに長時間行うのではなく、頻回に短時間行うべきである。

 十分なビタミンDを確保するのに必要とされる日光は比較的少量であるにもかかわらず、ドイツでは特にUVの強度が低くなる秋季と冬季にビタミンD欠乏に陥る者が少なくない。とりわけ高齢者・乳幼児・皮膚が露出しないようベールで覆っている移民女性・他の疾患のために、日光への曝露を回避している患者では注意が必要である。

<25-OHビタミンD3の欠乏を見抜く>
 ビタミンDの欠乏あるいは十分な量の確保は,具体的にどのような数値をもとに判断すべきなのか。Reichrath教授は「従来は、血中1,25-(OH)2ビタミンD3濃度が正常であれば、警戒を解いてよいと考えられてきたが、これは正しいとは言えず、その前駆物質である25-OHビタミンD3が低濃度(<20μg/mL)であっても腫瘍の発生は促される
 例えば,25-OHビタミンD3濃度が20μg/mLを超えている成人では,結腸癌リスクは3分の1に低下する」と指摘。「したがって25-OHビタミンD3の欠乏を見逃さずに治療することが望ましい」と強調した。ただし同濃度の最適値はまだ明らかにされていない。

 ビタミンDはかなりの高用量でも治療域内におさまるため、サプリメントによる補充が過剰投与につながる危険は低い中毒性の副作用を危惧すべき用量は40000 IU/日以上で、これは従来、高齢者に推奨されてきた600IU/日(但しこの用量は少なすぎる)の60倍以上に相当する

 晴れた日に、戸外でUVを全身に浴びると,皮膚では10000IUを超えるビタミンDが合成される。サプリメントを用いる場合,今日では4000~ 10000IU/日の補充が最適な量と考えられている。同教授は「 50000IU/回のビタミンDを,週1回の割合で8週間投与するのが効果的かつ安全な方法であるが,例えば,高齢者ホームの入所者に対しては50000IU/回の月1回投与を長期的に継続するという代替法を検討してもよい」と指摘した。[07年8月30日 (VOL.40 NO.35) p.06]


【コメント】
 ビタミンDに関しては、以下の専門書・一般書を参考にしてください。

平柳 要『がん予防に実は「日光浴」が有効なわけービタミンDの驚きの効力』講談社+α新書(2008)


岡野登志夫『ビタミンDと疾患ー基礎と臨床からの考察』 医薬ジャーナル社(2000)


中村・松本・加藤『骨代謝と活性型ビタミンD』ライフ・サイエンス出版(2006)


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